高湯温泉

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高湯温泉紀行

高湯温泉紀行

吾妻の紅葉巡り・花月ハイランドホテルと浄土平散策②

2015/10/某日

眺めと湯の贅沢が待つ、天空の宿

 紅葉狩りも早くも終盤。今年最期の“見納め”を、どうせなら欲張りに満喫しようと、眺めの良さが評判の花月ハイランドホテルを再訪。ロッジ風の旧館とホテル風の新館が並ぶ近代的な施設に加え、高湯温泉の最奥、見晴らしの開けた高所に位置するホテルは、季節や時間帯によって変わる吾妻連峰のダイナミックな景色が一望できる。今回は、ここを拠点に浄土平の湿原をさらに攻略する予定だ。

 到着早々、またもや前回を彷彿とさせる雨模様。連れと2人、少々、落胆した気持ちで案内された部屋は、雄大な山景を見渡すゆったりとした角部屋。残念ながら窓の外に広がる視界はゼロだが、贅沢なその開放感に、連れのテンションも少し持ち直したようだ(笑)
 気を取り直して食事の前に、まずはひと風呂。近代的な造りと対象的に、湯浴み棟へと続く木造りの長廊下は、いかにも山の宿らしい風情あふれる佇まい。途中には、「湯あみ花月菩薩」を祀る祭壇や、“信夫高湯”と呼ばれたかつての高湯温泉街の古い絵図など、興味深い資料も展示されている。
 ここ数年、ホテルでは大浴場をはじめ露天風呂や家族風呂が次々と改修され、誰にでもやさしいバリアフリーになったようだ。リニューアルにより名前も変わった大浴場「山の湯」は、その名のとおり自然林に囲まれた、蒼い湯色に映り込むカラフルな紅葉がオパールのように神秘的な煌きを放っている。源泉かけ流し、加水加温なしの100%天然温泉を誇る高湯で、この湯船の大きさを楽しめることは、まさに最高のもてなし。湯上り処には、医療器具としても使用されている治療機も設置され、山歩き後の疲れを癒してくれる。
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吾妻の紅葉巡り・静心山荘と浄土平散策①

2015/10/某日

居心地懐かしい、愛情手料理と人肌湯の宿

 台風の影響による大雨の猛威から、まだ日も浅い10月初旬。吾妻の紅葉は、例年より1週間程早く見頃を迎えたという。浄土平の秋は短い。つい先頃、訪れたとはいえ(詳細はこちらのブログを参照)、今年の色付きはなかなかに鮮やからしい。これを見ない手はない。
 深まる秋に急かされ訪ねたのは、以前、日帰りでお世話になった「静心山荘」(詳細はこちらのブログを参照)。メインストリートから少し入り組んだ小道を入った山の斜面に建つ宿は、高湯でも珍しい“ぬる湯”が評判だ。
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晩夏の高湯遊び・安達屋と吾妻小富士

2015/09/某日

私邸気分で愉しむ、貸切風呂の宿

 突然だが、自分に順番が回ってくるという意味で使われる“お鉢が回る”という諺の由来をご存知だろうか(笑)。ここで言う“お鉢”とは、飯櫃(めしびつ)のこと。大人数で食卓を囲んだ昔、飯をよそう順番がなかなか回ってこないことから生まれた言葉だ。
 季節はまもなく新米シーズン。頭を深く垂れる稲穂の景色に、そんなたわいのない会話を連れと交わしながら車を高湯へと走らせる。緑がまだ残る9月。紅葉シーズンまでしばし静けさを取り戻した吾妻の山里に、今回は福島の“飯櫃”ならぬ“すり鉢山”こと、「吾妻小富士」を訪ねる計画だ(笑)。
 温泉に近付くにつれ、図らずもまた自称、雨男の本領発揮(笑)。鈍色の空がどんよりと重さを増し、やがて車内に朗々と雨音が響き始めた…。不機嫌になる連れの傍らで、開き直りの笑いを押し隠す(笑)。

 到着した「安達屋」で、傘を持って出迎えてくれた宿の方に「またお世話になります」と挨拶を交わし、強まる雨足に小走りで中へ。ここを訪れるのは2度目(詳細はこちらのブログを参照)。時の流れを一気に引き戻すランプの灯りもやさしい館内は、あの時と同じ、旧交をあたためる知人宅のよう。チェックインの後、囲炉裏の炭火に手をかざしながら、おもてなしの甘茶でまずは一服。ラウンジの一角に設けられた「花ゆかた」コーナー(レンタル料300円)では、母娘らしい先客が柄と帯の組み合わせで悩んでいる。「安達屋」は、懐かしさの延長にある非日常感の演出が巧みだ。
 案内された部屋は貸切露天風呂にも近い場所。この宿に泊まる醍醐味は、何といっても、その贅沢な風呂施設にある。館内には男女別の内湯の他に、名物の大露天風呂と貸切風呂が3ヶ所。もちろん、そのすべてが白濁した自慢の硫黄泉の源泉掛け流し。まずは、改装したばかりの貸切風呂「ひめさゆり」へ。
 シックな色合いで統一された風呂は、2人連れや、ちいさな子供のいる家族に丁度良いコンパクト感。内湯スタイルだが、開け放した窓の外には坪庭も見え、私邸気分を満喫できる佇まいだ。館内の貸切風呂は利用料も無料(!)。そのまま単身、はしご湯した男性用内湯「不動の湯」は、映画のセットを思わせるレトロな造りで私の密かなお気に入り。先客なしの独り占めも手伝い、雨の憂いも忘れどっぷりと楽しんでしまった(笑)。
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秘蔵のぬる湯と創作料理、静心山荘

2015/03/某日

「静心山荘」は、その名がすべてをあらわす、まさに静けさと向き合う秘蔵の湯宿。玄人ファンが多いことでも知られる宿は、吾妻屋の先にある坂道を100m程登った先にひっそりと佇んでいる。アプローチは車1台がやっと通れる程の道幅で、雪が迫る冬は急カーブで身動きができなくなることもあるらしく、何度か重機による救出劇?(笑)が行われたこともあるという。
 山の斜面に建つ宿は、幾つかのログハウスが廊下で繋がる造りだ。特徴は何といっても自然林を擁する4,000坪もの広い庭だろう。緑の季節には別天地のような美しい景色に包まれ、爽やかな高原の風のなか、屋外での食事も楽しめるという。
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創業140年の山の湯宿「吾妻屋」

2015/02/某日

今昔ゆかしき宿、吾妻屋

 「 雪で大変でしたでしょう 」そう客をねぎらう女将に「 雪だから来たんだよ。雪が見たくて 」と笑う常連らしき客の声。屋根の積雪は軽く1mを超えているだろうか。女将曰く、これでもこの季節にしては少ないほうなのだという。
 厳しくもやさしい吾妻連峰の自然に抱かれ、静謐な白い景色に覆われる高湯の冬。清らかなその世界に逢いたくて、先客と同じ思いで私たちもまた此処に来ている。
 訪れたのは「 吾妻屋 」。わずか10室の客室に対し、貸切を含め8つもの風呂のある宿は、まさにどっぷりと高湯の湯と向き合える贅沢さだ。予約時に伺った館主の話によれば、ちょうど昨年末に内湯を改装したばかりらしい。“ 冬のお花見をどうぞ ”という、謎めいた言葉も気にかかるところだ(笑)。

齋藤茂吉も愛した吾妻の秘湯

“ 今昔ゆかしき宿 ”と銘打った宿は、高湯の歴史を語る宿のひとつだ。創業は140年前の幕末の頃。明治時代に描かれた古い絵地図のほぼ中央にも“吾妻屋”の名がみてとれる。吹き抜けとなったロビーギャラリーには、その歩みに相応しく、約390年前の古文書をはじめ、山岡鉄舟や伊東博文、勝海舟などの著名人や禅師の書画がズラリと並ぶ。
 なかでも明治から昭和にかけて活躍した文人、齋藤茂吉は吾妻の山をこよなく愛し、大正5(1916)年、友人の門間春雄と共に吾妻屋に逗留し
《 五日ふりし雨はるるらし山腹の吾妻のさぎり天のぼり見ゆ 》
《 山の峡わきいづる湯に人通ふ 山とことはにたぎち霊し湯 》
の歌を詠んでいる。 
 今も昔も変わらぬいで湯が取り持つ旅の縁。その歴史の延長線上にいま佇んでいることに感慨を覚えながら、厳寒の季節に一層荒々しく立ちのぼる高湯の湯煙を眺める。
 案内された部屋は黒い柱に竹の腰壁が、民芸調の雰囲気を奏でる落ち着いた和室。壁に描かれた吾妻山の絵が目を引くインテリアには、囲炉裏の名残を残す自在鉤や古い行火、網代編みの地板など、歴史を刻む宿ならではの懐かしい面影が漂う。「 きれいねぇ 」と連れがうっとりと腰を落とす縁側からは、繊細な水墨画のような雪景が広がっていた。
 「 そろそろ行ってみますか 」しばし部屋でのんびりした後、相槌を打つ彼女とともに、いよいよ宿の真骨頂たる風呂めぐりへ繰り出すことにした。
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