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高湯温泉

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高湯よもやま話

高湯温泉の歴史や出来事など…

高湯温泉のSDGsの考え方

2021/02/08 | 永山博昭

高湯温泉は慶長12年の開湯伝承から410年経っているが、当時と変わらぬ温泉の給湯方法を継続しており、それが地域を挙げて「すべての温泉浴槽(53浴槽)」が「源泉かけ流し100%」であるという価値に繋がっているのだと思う。これは江戸時代と何ら変わらず、まさに保存されるべく絶滅危惧種と言って良いのかもしれない。

この温泉水に何も手を加えないという不文律は、開湯当時から療養としての温泉の利用の仕方(湯治)に結び付く考え方であり、経験的また感覚的に温泉の力を落とさない方法が継承されて来ていることにある。これは温泉を供給している源である吾妻山で生業をする者として「山を荒らすな」という先達の口伝にもあるように、温泉を利用させていただくという古くからの山岳信仰にも通じる考えである。

これらを今時代風に解釈すれば、サティスナブル(持続可能な、環境に負荷をかけない)な温泉利用とでも言えようか。本来ならば谷で湧き出た温泉水は、そのまま沢筋(地区内では湯花沢)へ流れ出ていく。その流れ出ていく温泉水を少し迂回させ、浴槽を経由させていただく。温泉水には何も手を加えないので、浴槽に入れた分だけ外に排出され、浴槽の温度管理は注入する湯量で調節する。そのために引湯している湯量と温度により、その施設の厳冬期に営業できる浴槽の体積が決定されるのである。つまり上限まで引湯量を利用している施設は、一つの浴槽を大きくした場合、他の浴槽を小さくしなくてはならない。

それらの温泉使用の方法を理解した方々が、源泉かけ流しの温泉の価値を認め、高湯温泉での入浴がSDGsの一環であると認識した場合、温泉旅行の意味合いが少し違って来るのかもしれない。

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